SaaSとは?
読み方や意味、クラウドとの違いやSaaS連携についてわかりやすく解説

SaaS(サース)とは、「Software as a Service」の略称で、インターネットを通じてソフトウェアをサービスとして提供するモデルを指します。この形式では、ユーザーはソフトウェアを所有する代わりに、サービス提供者からサービスを購読する形で利用します。日本国内においても、テレワークやリモートワークの普及が進む中で、SaaSへの需要は急速に高まっています。本記事では、SaaSの概念を始め、その読み方や根本的な意味、クラウドコンピューティングとの差異や、異なるサービス間での連携方法について、 解説していきます。

目次

  1. SaaSとは
  2. SaaSの特徴
  3. SaaSとクラウドやPaaS・IaaS・IPaaSとの違い
  4. SaaSのメリットとデメリット
  5. SaaSの代表例
  6. SaaS連携とは
  7. SaaS連携の3つのメリット
  8. SaaS連携のポイント
  9. SaaS連携の具体例
  10. まとめ

SaaSとは

SaaS(サース)、すなわち「Software as a Service」は、インターネットを介してソフトウェアをサービスとして提供する モデルです。このサービスモデルにより、企業や個人は、高価なソフトウェアを直接購入し、物理的なサーバーにインストールする手間を省くことができます。代わりに、インターネットを通じて必要なソフトウェアにアクセスし、使用することが可能になります。これは、リモートワークや分散型労働が一般的となりつつある現代社会において、企業の運用コスト削減や業務効率の向上に直結するため、SaaSの重要性は日増しに高まっています。SaaSを活用することで、ユーザーは場所を選ばず、いつでも最新のソフトウェア機能を利用できるようになり、ビジネスの柔軟性と競争力を高めることができます。

SaaSの特徴

SaaSモデルは、その利便性と経済性で多くの企業や個人に選ばれています。主な特徴を以下にまとめました。

どこからでもアクセス可能

SaaSの最大の魅力の一つは、インターネット接続さえあれば、 どこからでもアクセスできる点にあります。この柔軟性により、リモートワークやモバイルワークが現実のものとなり、ユーザーはオフィス、自宅、あるいは移動中でも 効率的に作業を進めることができます。

初期コストの削減

SaaSは、従来のオンプレミスソフトウェアに比べて、顕著に初期コストを削減します。サーバー設備やソフトウェアライセンスの購入が不要になるため、特にスタートアップや中小企業にとって導入のハードルが低く、経済的にも大きな利点となります。

常に最新の状態を保持

SaaSサービスは、プロバイダーによって 管理されるため、新機能の追加やセキュリティの更新がリアルタイムで行われます。これにより、ユーザーは常に最新のソフトウェア環境を利用することができ、IT部門のメンテナンス負担も大幅に軽減されます。また、企業はITリソースをより戦略的な取り組みに注力できるようになり、ビジネスの成長を促進することが可能です。

SaaSとクラウドやPaaS・IaaS・IPaaSとの違い

SaaSと混同しやすい用語として、クラウド、PaaS・IaaS・IPaaSとの主な違いを以下にまとめました。

クラウドとの違い

クラウドとは、クラウドコンピューティングを指し、インターネットを介してリモートのサーバーからコンピューティングリソースを提供する広範なサービスの総称です。SaaS(Software as a Service)は、このクラウドコンピューティングのモデルの一つで、アプリケーションやソフトウェアをインターネット経由で提供するサービスに特化しています。つまり、SaaSはクラウドコンピューティングの枠組みの中で、エンドユーザー向けのソフトウェアサービスを提供する部分に焦点を当てています。

PaaSとIaaSとの違い

PaaS(パース、Platform as a Service)は、アプリケーション開発のためのプラットフォームと環境を提供します。開発者は、サーバーやデータベース管理などのインフラに関する心配をせずに、アプリケーションの開発に集中できます。

IaaS(イアース、Infrastructure as a Service)は、仮想化されたコンピューティングリソースをインターネット経由で提供します。これには、サーバー、ストレージ、ネットワーキングなどの基本的なインフラが含まれます。ユーザーは、必要に応じてリソースをスケールアップまたはダウンできます。

IPaaSとの違い

IPaaS(アイパース、Integration Platform as a Service)は、異なるクラウドサービスやオンプレミスのアプリケーション間でのデータの統合や連携を支援するプラットフォームです。これにより、異なるシステム間でスムーズなデータの流れを実現し、ビジネスプロセスの自動化を促進します。

SaaSは主に サービスの利用者に直接的なソフトウェアソリューションを提供することに焦点を当てているのに対し、PaaSとIaaSは開発者やITプロフェッショナル向けにより広範なプラットフォームやインフラを提供します。IPaaSは、これらのサービスや既存のシステムを つなぎ合わせ、統合することに特化しています。これらの違いを理解することは、組織が自身のニーズに最も適したクラウドサービスを選択する上で重要です。

SaaSのメリットとデメリット

SaaSは、その手軽さとコスト効率から多くの企業に採用されていますが、導入前にはこれらのメリットとデメリットを十分に検討し、ビジネスのニーズに最も適したソリューションを選択することが重要です。

コスト削減(メリット①)

SaaSは、従来のオンプレミスソフトウェアに比べて、初期設定や維持管理にかかるコストを大幅に削減します。ユーザーは高価なハードウェアやソフトウェアライセンスを購入する必要がなく、サービス提供者がサーバーの維持管理を行うため、IT関連のコストを削減できます。

迅速な導入(メリット②)

SaaSソリューションは、インターネット経由で即座に利用開始できるため、ソフトウェアのインストールや設定にかかる時間と労力が不要です。これにより、ビジネスプロセスの迅速なデジタル化が可能になります。

柔軟性(メリット③)

SaaSサービスは、ユーザーのニーズに応じて容易にスケールアップまたはダウンすることが可能です。企業が成長するにつれて、より多くのユーザーをサポートする必要が出てきても、追加コストを最小限に抑えながらサービスを拡張できます。

カスタマイズの限界(デメリット①)

SaaSソリューションは多くの場合、汎用的に設計されているため、特定のビジネス要件に合わせた深いカスタマイズが難しい場合があります。このため、独自のビジネスプロセスを持つ企業にとっては、フィットするサービスを見つけることが挑戦となることがあります。

セキュリティ(デメリット②)

企業データをクラウド上で管理するため、データセキュリティとプライバシーに関する懸念があります。サービス提供者によるセキュリティ対策が不十分な場合、データ漏洩のリスクが生じる可能性があります。

依存度の増加(デメリット③)

SaaSサービスはインターネット接続に依存しています。インターネットが利用できない環境では、サービスにアクセスできなくなるため、 業務に大きな影響を与える可能性があります。

SaaSの代表例

SaaSは、多岐にわたる業務プロセスを支援するための多数のアプリケーションを提供しています。以下は、その中でも特に代表的なサービスの例です。

これらのSaaSサービスは、中小企業から大企業まで幅広く採用されており、業務のデジタル化と効率化に大きく貢献しています。低コストで迅速に導入できることから、特に中小企業にとっては、ビジネスの成長を加速させるための強力なツールとなっています。

Google Workspace

コミュニケーションとコラボレーションを支援する一連のツールを提供します。Gmail、Google Drive、Docs、Sheets、Slidesなどが含まれます。チームメンバー間の効率的なコラボレーションを促進し、リアルタイムでの情報共有を可能にします。

Salesforce

世界で広く利用されている顧客関係管理(CRM)プラットフォームです。顧客データの一元管理を実現し、営業、マーケティング、カスタマーサービスの各プロセスを統合します。

Slack

チームコミュニケーションとプロジェクト管理を支援するプラットフォームです。チーム内外のコミュニケーションを効率化し、プロジェクトの進行状況を容易に追跡できます。

Dropbox

ファイルの保存と共有を目的としたオンラインストレージサービスです。どこからでもアクセス可能なセキュアなストレージ空間を提供し、ファイル共有をシンプルにします。

Microsoft 365

Officeアプリケーション(Word、Excel、 Power Pointなど)とクラウドサービスを組み合わせた生産性ツールスイートです。ドキュメント作成、メール、カレンダー、チームコラボレーションなど、ビジネスに必要な多くの機能を一つのプラットフォームで提供します。

SaaS連携とは

SaaS連携は、複数のSaaS(Software as a Service)サービス間で情報を共有し、データを交換するプロセスです。これにより、異なるアプリケーション間でのデータのシームレスな流れが可能になり、業務プロセスの自動化や効率化が実現できます。このプロセスは、ビジネスの生産性を向上させ、作業の効率化を図る上で重要な役割を果たします。

SaaS連携の3つのメリット

SaaSを連携させることで、ビジネスプロセスの効率化、データの一元管理、およびイノベーションの促進という3つのメリットが生まれます。

①ビジネスプロセスの効率化

異なるSaaSアプリケーションを連携することで、データの自動転送やプロセスの自動化が可能になり、作業の手間を減らし、時間を節約できます。

②データの一元管理

SaaS連携により、アプリごとに存在する顧客情報や財務データなどのビジネスにおける重要なデータを一つのプラットフォームとして管理することが可能です。そのため、データの整合性を保ちながら、アクセスと分析が容易になります。

③イノベーションの促進

異なるSaaSの機能を組み合わせることで、新しいビジネスモデルやサービスを生み出すことができ、競争力のある市場での革新を推進します。これらのメリットは、市場におけるビジネスの地位を高め、顧客に対してより価値の高いサービスを提供するための鍵となります。

SaaS連携のポイント

ここでは、SaaSを連携させる際のポイントを7つご紹介します。

①互換性の確認

連携させるSaaSサービス間でデータ形式やAPIが互換性を持つかを確認することは、スムーズなデータ交換を実現するために不可欠です。正確な互換性の確認により、データの損失やエラーを最小限に抑え、効率的なデータ処理を実現します。

②セキュリティ

データの共有や交換を行う際、情報セキュリティを確保するための措置を講じることが重要です。セキュリティ対策を強化することで、データ漏洩や不正アクセスのリスクを減少させ、ビジネスデータを保護します。

③継続的なメンテナンス

SaaSサービスは頻繁にアップデートされるため、連携が正常に機能し続けるように継続的なメンテナンスが必要です。定期的なメンテナンスにより、サービスのアップデートに迅速に対応し、常に最新の機能を利用できるようになります。

④目的の明確化

連携させる目的と期待する成果を明確に定義します。これにより、適切なサービス選定と設定が可能になります。

⑤APIの互換性

連携するSaaSサービスが提供するAPIの互換性を確認し、無駄な開発コストや時間を削減します。

⑥セキュリティ対策

データの安全性を確保するため、連携するサービスのセキュリティレベルとプライバシーポリシーを確認します。

⑦継続的な監視とメンテナンス

連携したサービスの動作を定期的に監視し、問題が発生した場合は迅速に対応します。

SaaS連携の具体例

具体的な連携例としては、CRMシステムとメールマーケティングツールの連携が挙げられます。CRMシステムとメールマーケティングツールを連携させることで、顧客データの一元管理と効果的なマーケティング活動が実現します。例えば、CRMに登録された顧客情報を基に、メールマーケティングツールでパーソナライズされたメールキャンペーンを自動的に実行できます。これにより、顧客満足度の向上と効率的なマーケティングの実施が可能になります。

binditを利用することで、SaaSの連携が容易になり、日々の業務を自動化することができます。 例えば、以下のようなシナリオが考えられます。

①営業プロセスの自動化

CRMシステムに新しい 顧客データが登録されたら、自動的にメールマーケティングツールに情報を送信し、フォローアップメールの送信をトリガーします。

②顧客サポートの最適化

カスタマーサポートツールに新しい問い合わせが登録された際、その情報をCRMシステムに同期し、顧客情報に基づいたカスタマイズされたサポートを提供します。

binditを活用することで、これらのプロセスを簡単に設定し、異なるSaaSサービス間の連携を効率的に管理することができます。このように、SaaS連携はビジネスの自動化と効率化を促進し、より戦略的な業務にリソースを集中させることを可能にします。

まとめ

SaaSは、インターネットを介してソフトウェアを提供するサービスであり、中小企業にとって多くのメリットを提供します。特に、初期投資を抑えつつ、最新の機能を利用できる点は魅力的です。しかし、カスタマイズの限界やセキュリティへの懸念もあるため、導入時にはこれらの点を考慮する必要があります。最終的に、SaaSはビジネスの効率化と成長を支援する強力なツールとなり得ます。

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