戦略的管理部門に向けた第一歩をノーコードツールで踏み出す
開発未経験者ながらSaaS同士をあっという間につなげる「bindit」
2024.03.29
デジタル技術を駆使した社会課題解決の追求を事業活動の基軸に据え、さまざまなソリューションを提供する株式会社ユニリタでは、戦略的な人事総務部門へのシフトを図るべく、IT部門に頼らずともSaaSを柔軟に連携させることで効率化を実現する「bindit」を活用しています。
課題
- コロナ禍においても出社を余儀なくされていた環境を改善したい
- 業務効率化によって新たな時間を創出し、戦略的管理部門へシフトしたい
- 社員向けに手厚い支援を続けながら、提供するサービスレベルの向上を目指したい
解決策
- 業務の棚卸しを行い、優先度の低い「やめる業務」を決めた
- 誰にでも簡単に使うことができるITサービスを活用して、単純作業を自動化する
- 社員からの問い合わせに対する業務の流れを統一し、対応品質の向上を行った
目次
戦略的管理部門へシフトする第一歩として、時間創出のための業務改善が必要に
1993年にコンピュータの運用自動化ソフトウェア事業を始めて以来、データ活用とシステム運用領域で培ってきた「データマネジメント」「サービスマネジメント」の強みを活かし、顧客のデジタル変革に向けた支援を行っている株式会社ユニリタ。デジタル技術を駆使した社会課題解決の追求を事業活動の基軸に据え、システム運用やデータ活用、各種クラウドサービスを提供しています。
そんな同社において、採用から入退職の手続き、人材育成といった人事関連の業務をはじめ、ビルの管理から保険契約など総務関連の業務を一手に手掛けているのが人事総務部です。「企業の人材戦略として、経営戦略実現人材の育成と自律型イノベーション人材の育成を中心に人材教育に取り組んでいます。我々自身も戦略的管理部門になるべく、人的資本の強化を進めています」とグループ業務本部 人事総務部 部長 安田 力樹氏は語ります。
人事総務部 部長 安田 力樹
「その環境づくりに向けて、現在抱えている業務の棚卸を実施し、戦略的な業務への時間確保に向けた施策に取り組んできました。具体的には、やるべき業務に絞ったうえで、IT技術を駆使して業務の効率化、自動化を図っていくことで、サービスレベルを下げることなく、戦略的業務へ取組む時間を確保する環境づくりです。また、以前より高いサービスレベルで業務を提供していたこともあり、新たな働き方への対応が求められていました。郵便物の受け取りやFAXの振り分け、電話応対などに対応するためには、在宅勤務が増えたコロナ禍にあっても我々の部門は出社せざるを得ない状況にありました。そこで、業務に優先順位をつけた棚卸を行い、外部の代行サービスを活用するなどして、出社せずとも提供サービスのレベルを落とさないことに主眼を置き、我々の業務そのものについて見直しを行いました。一方、サービスレベルをさらに高めていくための仕組みづくりや取組みについて、同時に検討を進めていったのです」と安田氏。
直感的にサービスをつなぎ合わせることが可能な「bindit」に驚き
まず、人事総務部では業務の棚卸をすることで手作業が介在している作業を明確にしたといいます。その作業を省略することができれば、その分の時間をまるまる他の業務に費やすことができるからです。業務の効率化、自動化を図っていく手段として、当初は業務の自動化に役立つITツールとして話題となっていたRPAに挑戦してみたこともあったといいます。しかしながら、ITスキルを持たないメンバーだけでは厳しいと判断するに至りました。
実は以前からExcelマクロで作られたアプリを使って業務を回していた経験から、Excelマクロを駆使することも想定されました。しかし、IT知識が不足しているがゆえに、間違えた操作によってアプリを壊してしまうのではという恐れもあったと言います。「使い勝手が悪くても、毎回同じ手順でやらないと不安でした。Excelマクロですらハードルが高いという印象を持っていたのです」と語るのは、人事総務部 鈴木 愛氏です。
人事総務部 鈴木 愛
そんな折、自動化に向けて志の高いメンバーが、他部署にて導入されていたツールを触ってみる機会を得たところ、好感触を得ることになりました。それが、ユニリタが提供するSaaS連携可能なノーコードツールの「bindit」だったのです。「本当に、何気なく触っていると、サービス同士を簡単につなぎあわせることができてしまった、という印象です。ITリテラシーが高くない私でも作れたというのは驚きでした。触りやすいが、ITっぽい仕組みはハードルが高いと感じている中、『bindit』は素人でもちゃんと動くものが簡単に作れてしまう。そういった小さな喜びを感じると、モチベーションって高まるんですよね。すると、あれもできるんじゃないか、これは?それは?という感覚になってくる。『自分でもITを使うことが出来た!ツールが思ったとおりに動作した!』という実感を得たことで、次も作ってみようという意欲や発想が次々と湧いてきたのです」と安田氏。
実際に触れた鈴木氏も、最初は心配や不安が先行したのが正直な感想でした。「マニュアルもなくスタートガイドのようなものだけで、本当にできるのか正直不安でしたが、触ってみると直感的にサービス同士をつなげることがイメージできます。特に困ることなくフロー作成までできてしまったことに驚きました」。
また、困ったときに「bindit」のホーム画面にあるサポート用のチャットから気軽に相談できたことも大きかったと言います。「私たちのような管理部門だと、分からない部分が出てきてしまうとどうしても先に進めず、諦めてしまうことが多いです。しかし、ITの知識やスキルのない我々にもチャットで丁寧に支援してくれたことで、少しずつ前に進むことができたのは大きかったです。」と鈴木氏。
最初に試したのは、問い合わせメールに対するサービスレベルの向上でした。以前はメールで受け付けていた人事総務部宛の問い合わせを、Googleフォームを経由して問い合わせをしてもらい、問い合わせした社員と人事総務部宛に問い合わせの受付メールを自動送付する仕組みです。「以前はメーリングリストや担当者個人に問い合わせのメールが届くため、人事総務部全員に共有しづらく、対応についても属人化していました。今ではGoogleフォームとメールを連携させ、かつその問い合わせをGoogleスプレッドシートで管理しています。そんな一連フローも苦労せずに作成できました。きちんと通知があることで問い合わせした人も安心でき、以前に比べてサービスレベルを向上せることに成功したのです」と鈴木氏。この仕組みづくりがきっかけとなり、他の業務にも活かせる実感を得ることができたと言います。
結果として、戦略的な管理部門に向けた第一歩として、新たな時間の創出とサービスレベルのさらなる向上を図るための基盤として、SaaS連携可能な「bindit」を選択することになったのです。
業務効率化や働き方の変革、サービスレベルの向上など高い効果を生み出す「bindit」
現在は、人事総務部以外にも法務部でも「bindit」が採用されており、全体で10を超えるフローが現場部門のメンバーだけで構築されています。当初行った業務の棚卸で、やるべき業務のなかでも8割ほどの業務を「bindit」で自動化し省力化できることが想定されており、優先順位をつけながら順次対応を進めていく計画です。「システムが大きく関係するものは情報システム部門主体で動いていますが、周辺的な作業については現場である我々自身が考えていく必要がありました。そのツールとして『bindit』が役立っています」と安田氏は説明します。作成時には自分のIDとサービスを紐づけた上でフローを作成していきますが、わからないことはチャットですぐに不明点を問い合わせできるため、現場部門だけでフロー作成が可能になっています。
実際にサービス同士をつなぎ合わせて業務に生かしている例としては、人事総務部への問い合わせフローの効率化とともに、手作業で宛先を振り分けていたFAX受信を、受信フォルダに電子化した資料を振り分けて該当者宛に通知する庶務総務業務における自動化です。また、社内研修の申込受付メールの自動送信から受講管理リストへの登録、受講者へのお知らせメールの自動送付、スケジュール登録など、人事業務の自動化にも役立てています。「出社時に勤怠管理ツールで打刻した後にSlackで挨拶をポストするのですが、これも勤怠管理ツールとSlackを『bindit』にて連携させ、自動的に挨拶スタンプがポストされるような環境を整備しています。退勤時も同様の処理が行われています」と安田氏。
クラウドサービス間を簡単に連携させることが可能な「bindit」によって、業務効率化の効果も現れています。研修に関するメール送信やスケジュール管理などは月4時間ほど、問い合わせ関連のリスト業務では月1時間、出退勤時の挨拶のSlack投稿などは累計で月4時間ほどが時間削減の数値として積み上げることができています。FAXの振り分けなどは、時間削減とともに、該当者にすぐに届いたことが通知できるようになり、サービスレベルの向上を実現。「削減できた時間を戦略的業務に割けるようになるなど、目指すべき戦略的管理部門に向けて着実に歩めています」と安田氏は高く評価します。
他にも、残業時間の削減により有給が取得しやすくなり、出社を余儀なくされていたFAXの振り分け業務からの開放でリモートワークもしやすくなるなど、さまざまな効果を実感しています。今では部門全体に「bindit」が広がりつつあり、多くのメンバーが「bindit」で出来ることを探すように。「その作業って“バイ~ンってできない?”といった言葉が広まるぐらい認知度は高まっています」と鈴木氏が語る通り、部内の意識改革にも大きく貢献している状況です。
「bindit」の使い勝手については、フロー自体はテストも含めてわずか10分足らずで作成できたものもあるほどで、元々用意されたレシピを見ながら、新たな連携のアイデアも出しやすいと好評です。「勤怠管理とSlackを連携させて挨拶をポストする仕組みは、すでに用意されていたレシピをもとにアイデアが出てきたもの。自分たちで課題を見つけてフローを作成するだけでなく、レシピからアイデアが思いつくなど、効率化の幅を広げることにも貢献してくれています。自分で設定したものが動いていると、未経験の私でもIT活用できているなと実感します」と鈴木氏。
誰にでも簡単に操作ができて、サービス同士をつなぎ合わせてくれるという意味で、“他にない魅力的なツール”だと安田氏は評しています。「ITの開発経験のない私も、メールが届いたらSlackで通知するフローをわずか10分で作成できてしまった。こんな簡単にできるのかと本当に驚きました。ユーザーと距離が近いツールで、いろいろなアイデアが湧きやすいです」。
「bindit」が持つ業務効率のレポート表示機能も、作成したフローの効果測定に大いに役立っています。「部門内でこれだけ効率化できていることを周囲に示すことで、活用に向けた啓蒙活動に役立っています。もちろん、作成したフローがどの程度効率化できているのかを上司に報告する時にも便利です」と鈴木氏。また、必要なデータを次の処理に受け渡すといった処理もIT未経験ながら簡単に実現できたと鈴木氏。「メールを受け取ったタイミングで、宛先や研修の日付、時間といった情報をスプレットシートに受け渡すといった処理に使っています。うまく動かなくとも何度でもやり直しできるなど、トライアンドエラーしやすくツールとしてもありがたい」。新たなシステムを利用する際には、使い方を熟知するまでに時間がかかるものですが、押し付けられたツールではなく自分たちで作っていくことで活用までの時間も大幅に短縮できている状況です。
適用業務を広げながら全社的な活動への展開に期待
今後については、引き続き人事総務部内での業務で「bindit」を適用できる範囲を広げていきながら、交流会などで知り合う外部の企業にも案内していくなど、同じような課題を持つ企業にも「bindit」を紹介していきたいと語ります。「システムをつなぐことに関して、難しいという先入観を持っている方も少なくないはずです。私自身が作ったフローを共有するだけでなく、デモを交えて一緒にフローを作ってもらうなどいろいろな方法で広めていきたいです」と鈴木氏は語ります。すでに契約書や健康診断結果といった電子資料をフォルダに保管する作業や、今後クラウド化を予定している社内決裁フローとの連携にも「bindit」の適用が期待されています。
また、今後、更なる整備を進めていく人事データベースとの連携においても「bindit」が活用できるはずだと安田氏。「人事評価に関しては、等級制度と評価、そして報酬を三位一体で運用していくことになります。『bindit』をうまく活用することで、素早く正確に人事評価データを作成することができると考えています。例えば、人事データベースに評価データを投入したとき、自動的に等級に応じた報酬額を算出するなど、一定の作業が簡素化される可能性はあると考えています。そういった作業を最少化することで、人材戦略を構想する時間を生み出していく。複数の情報を繋ぐことで考えの幅が広がり、おのずと発想も広がっていくはずだと思います。そういった意味においても『bindit』は効果的です」。新入社員研修などで「bindit」を活用したアイデアコンテストなどを開催するなど、つなぐことで新たな考えを広げていくといった取り組みについても検討していきたいと意欲的です。
最終的には、人事総務部門だけでなく、IT人材が減少すると予測される未来においてバックオフィスがDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める上で、広がりを見せるSaaSを効果的に連携させていく仕組みは業務効率化の視点で必須となることが想像されます。それ故に、全社的な活動として「bindit」を広げていき、作業から戦略構想へ時間の使い方をシフトさせる環境づくりが重要なポイントとなります。「『bindit』には、画面上に"実際に削減された時間”を確認する機能があり、部門全体としての業務改善の効果を訴求することに役立っています。また、業務プロセス上の課題や無駄を見つけ出す訓練に役立つツールとして、前述のとおり新入社員研修においても使ってみたくなりますね。そして最終的には、社会課題の解決につながるような活動にも展開していきたい」と安田氏に今後について語っていただきました。