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働き方改革とは?

働き方改革とは?企業が直面する課題と解決策

働き方改革とは、企業が従業員の働き方を見直し、生産性の向上と生活の質の向上を目指す取り組みです。最近、日本国内では働き方改革が進んでおり、多くの企業がこれに取り組んでいます。この記事では、働き方改革の基本的な概念、現状のトレンド、そして企業が直面する課題とその解決策をご紹介していきます。


働き方改革とは?

働き方改革とは、企業が従業員の働き方を見直し、生産性の向上と生活の質の向上を目指す取り組みを指します。この取り組みは、労働時間の短縮や柔軟な勤務形態の導入を通じて、従業員の健康と幸福を守りつつ、企業の競争力を高めることを目的としています。働き方改革は、特に少子高齢化が進む日本において、持続可能な経済成長を実現するための重要な施策です。

働き方改革のきっかけ・背景

働き方改革が求められる背景には、いくつかの重要な要因があります。以下では、働き方改革が必要とされる具体的な背景について詳しく説明します。

少子高齢化と労働人口の減少

日本では少子高齢化が進行し、生産年齢人口が減少傾向にあります。これは、企業が持続可能な成長を維持するために、効率的な労働力活用が必要であることを示しています。少子化により、若い世代の労働力が減少し、高齢化により労働市場からの引退者が増加しているため、労働力不足が深刻化しています。このため、企業は限られた労働力を最大限に活用するための戦略を講じる必要があります。

長時間労働の是正

長時間労働は、日本の労働文化の一部として根強く残っていますが、その弊害も多く指摘されています。長時間労働は従業員の健康を害し、過労死やメンタルヘルスの問題を引き起こすことがあります。また、生産性が低下する要因にもなります。これに対処するために、働き方改革では労働時間の短縮や適正な労働時間管理が求められています。

働き方改革関連法による11の主要な変更点

働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)が施行されたことで、次の11点が大きく変更されました。

時間外労働の上限規制の導入

長時間労働の是正を目的に、時間外労働の上限が法律で明確に規定されました。

  • 原則として、時間外労働は月45時間・年360時間以内
  • 臨時的な特別の事情がある場合でも、年720時間が上限
  • 単月100時間未満、複数月の平均80時間以内の規制


これに違反した場合、罰則が適用される(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金) これにより、企業は適切な労働時間管理が求められるようになりました。

勤務間インターバル制度の導入促進

勤務間インターバル制度とは、終業時間から次の始業時間まで一定の休息時間を確保する制度です。
たとえば、前日の業務終了が22時の場合、翌日の始業を8時ではなく10時以降に設定するといったことです。

導入は努力義務(義務化ではないが推奨)ですが、この制度を導入することで、過労による健康被害の防止や労働生産性の向上が期待できます。

年5日の年次有給休暇の取得

有給休暇は労働者の権利ですが、取得率の低さが課題となっていました。
そこで、企業に対し年5日以上の有給取得を義務化しました。

  • 対象:10日以上の有給休暇が付与される労働者
  • 企業側が労働者に対し、5日分を時期指定して取得させる義務
  • 違反した場合、罰則(30万円以下の罰金)

月60時間超の残業の割増賃金率引き上げ

長時間労働を抑制するため、残業の割増賃金率が引き上げられました。
月60時間を超える時間外労働の割増率を、大企業の割増賃金率(50%)に合わせて、中小企業も25%から50%に引き上げとなりました(2023年4月から適用)。

22時から5時の時間帯に1か月60時間を超える法定時間外労働を行わせた場合は、深夜割増賃金率25%合わせると75%の割増率になります。

これにより、中小企業にとって、業務効率化を進める必要性が一層高まりました。

労働時間の客観的な把握

労働時間の適正な管理を目的に、企業は労働者の労働時間を客観的に把握する義務が課されました。

これを実現するための具体的な方法としては、下記が挙げられます。

  • タイムカード
  • PCログ
  • 入退室記録


なお、管理職や裁量労働制の従業員も対象となります。
この変更により、過労死の防止や働き過ぎの抑制が図られます。

「フレックスタイム制」の清算期間延長

柔軟な働き方を支援するため、フレックスタイム制の清算期間が延長されました。

  • 従来の清算期間:1ヵ月
  • 改正後:最大3ヵ月


この変更により、労働時間を柔軟に調整しやすくなり、労働者のライフスタイルに合わせた働き方が可能になりました。

高度プロフェッショナル制度の導入

高度な専門職を対象に、労働時間規制を適用しない「高度プロフェッショナル制度」が新設されました。

対象職種は金融ディーラーやコンサルタント、研究開発職などで、年収1,075万円以上であることが条件です。
また、適用には、本人の同意と労使委員会の決議が必要です。

産業医・産業保健機能の強化

労働者の健康管理を徹底するため、産業医の役割が強化されました。この変更により、企業は健康管理の体制整備が求められます。

  • 健康診断の実施頻度の見直し
  • 産業医の活動環境の整備
  • 産業医の訪問回数の増加
  • 産業保健スタッフの配置基準の厳格化

不合理な待遇差の禁止

同一労働同一賃金の考え方に基づき、正社員と非正規社員の待遇差が禁止されました。この改正により、非正規社員の待遇改善が進んでいます。

  • 基本給・賞与・手当・福利厚生の差別的取り扱いを禁止
  • 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
  • 裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備

労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

企業は、労働者に対し、待遇に関する説明を求められた場合、合理的な説明を行う義務を負います。労働者からの質問に対応するため、企業は事前に準備を進める必要があります。

  • 正社員と非正規社員の違いを明確に説明
  • 労働条件や待遇の内容、職場での考慮事項

行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争手続(行政ADR)の規定の整備

以前より正規雇用労働者に対しては労働問題の解決手段として、行政による助言・指導や裁判外紛争解決手続(ADR)が整備されていましたが、有期雇用労働者に対しても適用されるようになりました。

  • 有期雇用を含む労働者が行政機関に相談可能
  • 企業側は法令遵守の意識を高める必要あり
  • 迅速なトラブル解決が期待される

労働力不足解消のための3つの対応策

日本では少子高齢化が進み、労働力不足が深刻な課題となっています。特に中小企業にとっては、人手不足による業務の停滞や生産性の低下が大きな問題となっています。

この状況を改善するためには、「働き手を増やす」「出生率向上」「労働生産性の向上」という3つの対策を組み合わせることが重要です。

働き手を増やす(女性・高齢者の活用)

少子高齢化により、生産年齢人口(15から64歳)の減少が進んでいます。
この流れを食い止めることは難しいため、すでに労働市場にいる人材を活用することが求められます。

その中で、特に注目されているのが女性や高齢者の活躍推進です。

女性の活用

女性労働者の活用のためには、「育児・介護と仕事の両立支援」や「ジェンダー平等の推進」といった施策が挙げられます。

■育児・介護と仕事の両立支援の具体例

  • フレックスタイム制や短時間勤務制度の導入
  • 企業内保育施設の設置や保育支援制度の充実
  • リモートワーク(在宅勤務)の推進

■ジェンダー平等の推進の具体例

  • 男女問わず管理職や専門職に昇進できる環境整備
  • 「男性育休」の取得促進


これらの施策により、女性がより長く働ける環境を整えることで、労働力不足の解決につながります。

高齢者の活用

高齢者の活用のためには、「定年延長・再雇用制度の整備」や「シニア向けスキルアップ支援」といった施策が挙げられます。

■定年延長・再雇用制度の整備の具体例

  • 65歳以上でも働ける環境の提供
  • 短時間勤務や業務内容の調整による負担軽減


■シニア向けスキルアップ支援の具体例

  • デジタルリテラシー研修の実施
  • OJTやリスキリングによる新たな業務領域への適応


高齢者が経験や知識を活かしながら無理なく働ける環境を整えることが、企業の人材不足を補う鍵となります。

出生率向上による長期的な労働人口増加

短期的な対策ではなく、将来的に労働人口を増やすための取り組みも必要です。
そのためには、出生率を向上させるための企業の支援が不可欠です。

子育て支援策

子育て支援策としては「育児休業制度の拡充」「育児休業制度の拡充」「手当・補助金の充実」などが有効でしょう。

■育児休業制度の拡充の具体例

  • 産後パパ育休(出生時育児休業)の利用促進
  • 育休取得をしやすい職場環境づくり


■ワークライフバランスの推進

  • 企業主導型保育園の設置
  • 時短勤務やリモートワークの推奨


■手当・補助金の充実の具体例

  • 住宅手当や子育て支援手当の支給
  • 福利厚生としての育児支援制度の導入

労働生産性の向上(デジタル技術の活用)

労働力不足を補うためには、限られた人員でも生産性を向上させることが重要です。
そのためには、デジタル技術を活用して業務の効率化を図る必要があります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

DXの推進としては、たとえば、「ペーパーレス化」や「業務の自動化」を進めることが挙げられます。

■ペーパーレス化の具体例

  • 書類の電子化やクラウド管理の導入
  • 電子契約システムの活用


■業務の自動化の具体例

  • RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による定型業務の自動化
  • AIを活用したデータ分析・予測

働き方改革の現状とトレンド

働き方改革は、日本国内で広範囲にわたり進展しており、政府や企業による多くの取り組みが見られます。以下では、日本における働き方改革の現状と最新のトレンドについて詳しく見ていきます。

日本における働き方改革の現状

日本政府は、働き方改革を促進するためにさまざまな施策を導入しています。これらの取り組みは、法改正を含む広範なものであり、企業の労働環境に大きな影響を与えています。

政府の取り組みと法改正

日本政府は働き方改革を推進するため、さまざまな法改正や政策を導入しています。働き方改革関連法が施行され、時間外労働の上限規制や勤務間インターバル制度の導入などが義務付けられました。また、年5日の有給休暇取得義務や同一労働同一賃金の導入も進められています。これらの法改正により、企業は労働環境の改善を求められており、従業員の働きやすさが向上しています。

働き方改革の最新トレンド

働き方改革が進む中で、新たな働き方のトレンドも生まれています。特にリモートワークや柔軟な勤務形態は、従業員の働き方に大きな変革をもたらしています。

リモートワークと柔軟な勤務形態

リモートワークの導入は、働き方改革の一環として注目されています。特に新型コロナウイルス感染症の影響により、リモートワークが急速に普及しました。これにより、通勤時間の削減や家庭と仕事の両立が可能となり、従業員のワークライフバランスが改善されました。また、フレックスタイム制の導入により、従業員が自分のライフスタイルに合わせた働き方ができるようになっています。これらの取り組みは、労働生産性の向上にも寄与しています。

参考記事:テレワークの基本を理解する!導入メリットと注意点

働き方改革における具体例

働き方改革を実現するためには、具体的な取り組みが必要です。以下では、これらの具体的な取り組みについて詳しく説明します。

労働時間の短縮と柔軟な勤務形態

労働時間の短縮と柔軟な勤務形態は、働き方改革の中心的なテーマの一つです。これにより、従業員は自分のライフスタイルに合わせた働き方ができるようになり、生産性の向上とワークライフバランスの改善が期待されます。

フレックスタイム制の導入

フレックスタイム制は、従業員が始業・終業時間を自由に設定できる制度です。これにより、従業員は自分の生活リズムに合わせた働き方が可能となり、仕事とプライベートの両立がしやすくなります。企業にとっても、フレックスタイム制の導入は生産性向上や離職率の低下につながるため、積極的に取り組むべき施策です。

多様な働き方の推進

多様な働き方の推進は、従業員が個々の事情に合わせた柔軟な働き方を選択できるようにするための取り組みです。特に、育児や介護といった個別の事情を持つ従業員にとって、企業のサポートは非常に重要です。

育児・介護との両立支援

育児や介護をしながら働く従業員を支援することは、働き方改革の重要な要素です。企業は、育児休業や介護休業の取得を推奨し、復職後のサポート体制を整えることが求められています。例えば、時短勤務やテレワークの導入により、従業員が家庭の事情に合わせた働き方を選択できるようにすることが効果的です。

働き方改革がもたらす効果

働き方改革を進めることで、企業にはさまざまなポジティブな効果が期待されます。以下では、働き方改革がもたらす具体的な効果について詳しく説明します。

生産性の向上

働き方改革は、業務プロセスの効率化を通じて企業の生産性を向上させる効果があります。従業員が効率的に働ける環境を整えることで、無駄な時間や労力を削減し、より高い成果を上げることが可能となります。

効率的な業務プロセスの実現

働き方改革により、業務プロセスの効率化が進みます。例えば、リモートワークの導入により、無駄な会議の削減やペーパーレス化が進み、業務のスピードと効率が向上します。また、ITツールの活用により、業務の自動化やデジタル化が進み、従業員はより重要な業務に集中できるようになります。

参考記事:iPaaSとは? iPaaSの導入メリットや機能、活用方法について解説します!

従業員の満足度向上

働き方改革は、従業員の満足度向上にも大きく寄与します。従業員が自分のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を選べるようにすることで、仕事に対するストレスが軽減され、職場環境が向上します。

ワークライフバランスの改善

働き方改革によって、従業員のワークライフバランスが大きく改善されます。例えば、フレックスタイム制やリモートワークの導入により、従業員は家族との時間を確保しやすくなり、趣味や自己研さんに時間を費やすことができます。このような柔軟な働き方により、従業員は精神的な充実感を得られ、ストレスの軽減につながります。その結果、従業員のモチベーションが向上し、仕事に対する意欲が高まります。これらは、離職率の低下にも寄与します。

働き方改革における課題と解決策

働き方改革を実現するには、さまざまな課題に対処する必要があります。以下では、働き方改革における主要な課題とその解決策について詳しく説明します。

長時間労働の解消

長時間労働の解消は、働き方改革の中でも特に重要な課題です。長時間労働は従業員の健康に悪影響を及ぼし、生産性の低下やメンタルヘルスの問題を引き起こします。企業は適正な労働時間管理を行うことで、従業員が健康的で効率的に働ける環境を整える必要があります。

労働時間の適正管理

長時間労働の解消には、労働時間の適正管理が不可欠です。企業は従業員の労働時間を適切に把握し、過度な労働を防ぐための対策を講じる必要があります。例えば、労働時間の記録をデジタル化し、リアルタイムで監視するシステムを導入することが効果的です。また、上司や同僚とのコミュニケーションを密にし、労働時間の過多を早期に発見することも重要です。

正規・非正規の格差是正

正規・非正規の格差是正も働き方改革の重要な課題です。従業員の待遇差を解消し、公平な労働環境を提供することは、企業の持続可能な成長に寄与します。同一労働同一賃金の実現を通じて、すべての従業員が公平に評価される環境を整えることが求められます。

同一労働同一賃金の実現

同一労働同一賃金の実現は、正規・非正規の格差是正に向けた重要な取り組みです。企業は、同じ仕事をする従業員には同じ賃金を支払うことを徹底する必要があります。これにより、非正規社員のモチベーションが向上し、企業全体の生産性も向上します。また、正規・非正規間の待遇差をなくすために、教育・研修の機会を平等に提供することも重要です。

まとめ

働き方改革は、日本の企業にとって重要な取り組みです。少子高齢化や長時間労働などの背景から、働き方改革が求められています。リモートワークやフレックスタイム制の導入、育児・介護との両立支援など、具体的な取り組みにより、企業は生産性の向上と従業員の満足度向上を図ることができます。一方で、長時間労働の解消や正規・非正規の格差是正といった課題も存在します。これらの課題に対する解決策を講じることで、企業はより良い労働環境を提供し、持続可能な成長を実現することができます。

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